ブログ一覧

  • SIG

耐震補強工事その⑤

型枠・コンクリート打設

みなさんこんにちは、事務局の田村です。
前回鉄筋についてご説明いたしましたがいかがでしたでしょうか?
今回は型枠組立~コンクリート打設について書こうと思います。
その前に、今回の施工にあたって少し変わったものを使用したため紹介しておきます。

1.スルーサー

この工事は河川水位以下であり、掘削も河床以下であったため土留め支保工の施工が必要です。(スルーサーは赤い土留材の先端についている部材)
通常の施工だと、土留め支保工下までコンクリートを打設し、埋め戻してから土留めを外し、1段ずつ施工しなければなりません。今回のように3段の土留めがある場合は、3回施工を繰り返す必要があり、各作業の中で埋戻しが発生し、強度発現までの日数を必要とします。3回行うと工期を多く必要とします。
河川工事は出水期である6月~10月末までの間、河川面積を阻害する仮設物は撤去しなくてはなりません。
そのため、河川内で行う工事は11月~5月末までの期間しかなく、少しでも工期を短縮する工夫が必要になります。
話を戻しまして、このスルーサーが工期短縮にどうかかわっているかといいますと、構築にかかる作業が、土留をした状態で可能となります。
スルーサーの文字通り、山留があっても鉄筋が組み立てられる。また、型枠の施工も可能。よってコンクリートの打設もできます。(写真参照)
条件によっては、今回の3回サイクルを1回で鉄筋・型枠・生コンの施工が可能となります。
今回は打設高が8.6mあったため、コンクリート打設は、2回で行いましたが、鉄筋工事は1回で完了、埋戻しをその都度行わないで、躯体構築ができたため、2回目の型枠施工中にコンクリートも所定の強度を得られたため、実質1回+2日(段取替えとコンクリート打設)程度の期間で施工が完了でき、通常施工の3回より大きく工期を短縮することができました。
現場技術者の創意工夫によるものです。

 

2.コンクリートの耐久性向上

もう一つご紹介するのが、補強繊維ネットの施工です。
今回工事は既設コンクリートに新コンクリートを打ち継ぎます。
コンクリートは数値的には若干ですが、膨張と収縮を繰り返す構造物です。
旧コンクリートは時間も経過しているため、コンクリートの内部が乾燥しており、膨張と収縮量は小さくなりますが、新規に打設するコンクリートはフレッシュ状態であり内部には水分が多く、膨張と収縮が大きくなります。
この新旧の膨張、収縮量の違いでひび割れが発生する要因にもなります。
このような河川内の構造物では、ひび割れによりコンクリート内部に中性に近い河川水が入り込むと鉄筋を腐食させ、後に構造物として大きな欠陥を生むこととなります。
今回は、その乾燥収縮による挙動を抑えるためにハイパーネットを施工しました。
このハイパーネットを使用することでコンクリート打設初期の膨張や収縮を抑制し、ひび割れ発生率を低減させます。
ちょっとした工夫が、構造物の品質向上と耐久性向上につながります。

型枠工事

型枠工事はコンクリートの側圧に耐えられる十分な強度が必要です。
コンクリー打設時には、様々な力がいろいろな方向からかかるため、押引きでもビクともしないように強固に組立てます。
今回は構造物の端部が円形のため、曲がり型枠を使用し、コンクリートの側圧に耐えられるように単管の縦地と鉄製バンドで強固に組み立てました。
また、円形部分は型枠の継ぎ目が開かないように鉄製の金具で連結しています。

コンクリート打設

コンクリート打設時の落下高さは1.5m以下と規定があります。これは、1.5mを超えて落下するとコンクリート中のセメント・水・骨材の練り混ざりバランスが崩れ、材料が分離し、品質の悪いコンクリートになり、所定の強度を得られないからです。
今回のように打設厚さが25㎝しかなく、鉄筋も多い場合、コンクリートポンプ車の筒を躯体内部まで挿入することはできません。また、2回でコンクリートを打ち上げるため1回の打設高が4.3mとなり、1.5m以上の落下高さになってしまいます。
そのため型枠に写真のような開口部を設け、コンクリート投入口を設置し、落下高さを1.5m以下に抑えます。

もちろん、投入口はリフト高(打設高さ)がその場所に達した時にコンクリートが漏れないよう、閉口します。(右は開口部のコンクリート打設後、きれいに仕上がっています。)
また、今回のように打設高さが50㎝を超えるコンクリートは、型枠の耐久性を考え複数の層で打ち重ねていきます。
打設リフト高(1層の仕上がり厚さ)は50㎝が1層の目安のため、バイブレーターにはビニールテープ等で50㎝ごとにマーキングを行い、リフト高50㎝の目安にしたり、各層のコンクリートが一体となるように、バイブレーターを下層のコンクリートに10㎝食い込ませながら締固めを行い、コンクリートの一体化を図ることで品質を確保しています。

 

関連記事一覧

記事カテゴリー

PAGE TOP