型枠工事
現場打ち構造物は、構造物を自由な形状(構造計算で安全が確認された形であることが前提)につくることができます。
そのため、複雑な形で鉄筋や型枠を組立てる必要があります。しかし、型枠はただ設計の形に板などを立てて終わりというわけにはいきません。
コンクリートは打設時は流動性が高く、型枠には側圧というものがかかり、コンクリートの入る箱をつくっただけではこの側圧によって型枠は崩壊してしまいます。(通称パンクと呼ばれ、大工さん的には恥ずかしいことです。)
しっかりした型枠を組立てるには、押引きの力に耐えられる堅固な構造にしないといけません。
型枠の中はどうなっているかというと写真のようなセパと言われる鉄の棒で型枠内を突っ張り幅を固持し、外側は桟木や単管などでたわみが出ないように固めています。
これで側圧がかかっても膨らんだりパンクしたりせずコンクリートが設計の型通り納まるのです。
コンクリート打設工事
鉄筋を組立、型枠を組立てた後はいよいよコンクリートを打設する工事が始まります。
コンクリートはレディーミクストコンクリート(生コンクリート)と呼ばれ、練上がりから現場での荷降ろし時間が決まっているため、基本的には時間内に運搬、荷降ろしができる現場に近いプラントを選定します。
また、公共工事では皆さんの生活に直結する重要な構造物が多いため、欠陥があってはなりません。そのため使用されるコンクリートは品質管理が徹底されているJIS認定工場で製造されたものを使用し、現場では荷降ろし前に検査を行い、配合報告にあるスランプ(柔らかさ)、単位水量(配合時の水の量)、空気量、塩化物含有量など、その場で確認できる検査の他、このコンクリートが設計基準強度をクリアしているかの供試体も採取するなど、徹底した品質管理が行われます。
ちなみに、スランプや単位水量など基準値に入っていない生コンは工場へ返されます。また、供試体によって強度不足が後日発覚したコンクリートは、構造物本体の強度を微破壊検査にて直接強度を確認し、それでも強度が不足している場合は壊すしかありません。
無事現場検査をクリアできたコンクリートは型枠内に打設されます。
打設は数量が少ない場合や、超高層の場合はホッパーと呼ばれる箱にコンクリートを詰めクレーンで運搬、打設を行います。(右写真)
大型構造物になると、コンクリートポンプ車と呼ばれる車両でコンクリートを圧送して型枠内に直接コンクリートを投入していきます。(上写真)
コンクリートの打設は鉄筋と型枠の変状に気を付けながら行います。大きな断面になると、コンクリートを一気に投入したら側圧で型枠が崩壊する可能性もありますので、事前に打設計画を検討し、側圧の計算を行い、コンクリートの打ち重ね高さ(リフト)を決めて何層にも分けて打設を行います。
何層にも分ける打設においては、打ち重ね時間も決まっており、時間内に次の層の打設を行い、下層と上層のコンクリートが一体となるようにバイブレーター(振動締固め機)にて下層コンクリートまでしっかり締固めを行います。各層が一体となっていないことをコールドジョイントと呼び、品質的には良くありません。
この締固め作業はバイブレーターのかけ方で型枠に覆われた側面の仕上がりが決まるので誰でもできる仕事ではありません。長年のキャリアが物語る職人技です。
コンクリートが設計通りに打ちあがると仕上げ作業にかかります。
仕上は左官仕上げと呼ばれ、初めは木ゴテにて、たたきながら入念に抑えセメントペーストを浮かせます。コンクリート内部の水は仕上面に上がってきますが、その水が引いてきたら今度は金ゴテにて一気に仕上げます。※金ゴテはあてすぎるとコンクリート表面を黒くし、砂が表面に出てくるのであてすぎずに仕上げる必要があり、これも職人技となります。
コンクリート打設は、一発勝負の失敗の許されない作業です。
入念な打設計画を立案し、鉄筋を計画通り組立て、コンクリートの打設でも動かないよう鉄筋交差部は全結束し、型枠は計画寸法通りでコンクリートの側圧にも負けないよう堅固に組み立てられているか、コンクリートの品質は問題ないか、運搬は順調か、時間内に荷降ろしできているか、打設は計画通り進んでいるか、締固めは十分か、振動を同じ場所にかけすぎていないか、仕上げは問題ないかなど様々な課題をクリアして初めてコンクリートを打つことができます。
現場では様々な職種の人材が一つのものを創るため、協力しながら行っています。
今回の構造物で型枠工事・コンクリート打設工事を担当したのはSIG会員である三浦建設工業です。
SIGサイトには専用ページはございませんが、茂原にある会社です。ご興味のある方は事務局までお問い合わせください。
橋梁工事を通して現場打ち構造物について3回にわたり説明させていただきました。
1つの構造物を現場で造るには、いろいろな会社が協力して造り上げます。巨大な構造物を設計通りの位置に、数㎝の誤差で造り上げるのは土木工事の醍醐味でもあります。
ご興味のある方は当HPよりお問い合わせください。
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次回は、トンネルについて書こうと思いますのでよろしくお願いします。