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耐震補強工事その③

耐震補強

みなさんこんにちは、事務局の田村です。
耐震補強工事は今回で3回目になります。
少し工事も進みましたのでまた書きたいと思います。
橋脚の耐震補強工事の工法は複数あり、代表的な工法は下記参照。
1.RC巻立て工法(鉄筋コンクリート巻立て)
2.鋼板巻立て工法
3.炭素繊維巻立て工法(アラミド繊維)
工法の選定は施工場所(自然環境や施工性)や用途(被害の状況・想定される被害)、経済性で決められます。
今回の工事はRC巻立て工法での施工となります。

RC巻立て工法

工事は現在鉄筋工事に入りました。
前回、掘削が完了し、今回は
1.既設コンクリート表面処理(バキュームブラスト)
2.主鉄筋定着用穿孔
3.主鉄筋定着
今回はここまでをご紹介したいと思います。

1.既設コンクリート表面処理(バキュームブラスト)

表面処理(バキュームブラスト)

何で表面処理が必要か?
コンクリート表面には、今回のような河川(河口で海のそば)は貝類の付着が多く、表面は不純物だらけということもありますが、既設面に新しくコンクリートを打ち継ぐ場合、どの場所であれコンクリート表面を荒らします。
理由は、コンクリート表面はモルタルで覆われており、新しくコンクリートを打ち継いでもしっくりこない・・・説明が難しいのですが、コンクリートは骨材とモルタルペーストが混ざり合っているものです。
モルタルが表面にあると、新しく打込むコンクリートはモルタルによって縁が切れているような状態であり、付着力が低下します。そのため、コンクリート表面のモルタルを斫り、骨材をむき出しにすることで新旧コンクリート面の付着が良くなり、一体化します。

2.主鉄筋定着用削孔(コア)

巻立てコンクリートの厚さは25㎝あります。
耐震化が目的ですから、右の写真のようにならないために鉄筋でしっかりコンクリートを固定する必要があります。
しかし、周りに鉄筋を立てただけでは既存の構造物と一体化せず、弱いものです。そのため、既設のフーチング(壁の下にある部分)に鉄筋を挿入する穴をあけ、そこに主鉄筋となる鉄筋を挿入します。
穴をあける位置も気を付けなければなりません。
既設構造物も鉄筋が入っています。
既設の鉄筋を破断してしまっては構造的に問題が生じます。
耐震補強工事をやって耐震性が逆になくなってしまっては本末転倒です。
穴の位置は、事前に鉄筋探査を行って、既存の鉄筋をかわした位置に行います。

削孔状況

鉄筋を立てこむ穴の深さも、鉄筋の定着長(既設の構造物と一体化できる長さ)を計算し、その長さ以上挿入できる深さを確保します。
今回工事では鉄筋の定着長が700㎜であったため、削孔長は710㎜でした。
10㎜削孔が長い理由は、確実に既存の躯体と一体化できる定着長を確保するためと考えられます。

3.主鉄筋定着

穴をあけたらすぐ鉄筋を立てこまず、1孔ずつ穴の深さを確認し、確認後は穴の中の不純物(コンクリートを削った粉など)をきれいに取り除き鉄筋を立てこむまでの間蓋をしておきます。
鉄筋はエポキシ樹脂を穴に注入してから建込み、樹脂が硬化するまで倒れないように養生します。
鉄筋の組立作業はエポキシ樹脂硬化後の翌日からとなります。

定着部拡大写真

今回はこのへんで
次回は鉄筋から先の工程を説明します。

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