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耐震補強工事その②

橋脚耐震化工事の続き

みなさんこんにちは
事務局の田村です。
前回ご紹介した工事ですが、掘削作業が完了しましたのでご紹介したいと思います。
今回は耐震補強というより、河川内工事での仮設の工夫、既存構造物の調査等を書きたいと思います。

河川内での仮締切方法

左の写真の通り現在掘削が進み河川の水位以下で作業を行っています。
通常河川内工事で施工箇所を締切る際は、2重締切であったり、鋼管矢板締切と呼ばれる工法を選定しますが今回の工事では鋼矢板締切工法を選定しています。
理由は(おそらくですが)河の流れが急ではなく、流速も小さく、比較的浅い水位というところでしょう。
鋼矢板締切は鋼矢板同士をセクション(つなぎ目)で連結しながら圧入していき、最終的に四角の形で締切ます。
しかし鋼矢板は中古品(リース材)であるため、中にはセクションが開いたりして隙間を生じてしまうものがあり、河川水位以下ではそのセクションから水が噴き出すことで作業に支障をきたし、場合によっては作業員に危険が及ぶ可能性もあります。

作業の安全と施工性を確保する工夫

今回の現場で作業の安全と施工性を確保するために行った対策は、鋼矢板のセクションに特殊な薬を塗ることで隙間を埋めることができる
パイルロックと呼ばれる塗料を採用しました。
このパイルロックは事前に工場で塗布し、完全に乾くまで養生を行って保管します。
パイルロックは水と反応して膨張します。
膨張したものはゴム状の素材のため、伸縮性もあり、鉄でできたセクションの隙間を埋めるには、まさにうってつけです。
パイルロックが充填された断面は右の写真を参照ください。
鋼矢板のセクションの隙間にきれいに詰まっているのがわかると思います。
今回はこのパイルロックのおかげで鋼矢板のセクションからの出水もなく、安全に作業を行うことができました。
費用は〇百万円と高価なものですが、現場で働く人の安全はプライスレス!作業性も考えると安価でもあります。

床付けの状況

鋼矢板側からの出水がないことがわかります。

既設構造物の調査

今回の施工箇所は河川内であり、海からも近く、干満による海水位変動もあるため、事前に既設構造物の調査をすることは困難です。
また、ドローンなどを使っても、地中部分であったり、水位以下の既存構造物は確認ができないため、このような工事を行っている間に調査し、この工事で耐震補強の他、補修を行うことも考える必要があります。
左の写真は監理技術者である市原組職員が既存構造物の調査を行っているところです。
実際に近くで既存構造物を目視確認し、異常を見つけて補修方法を検討します。
今回はひび割れと鉄筋の爆裂が確認できましたので、耐震補強を行う前に補修を行います。
せっかく工事を行っているのですから、ついでにできれば一石二鳥ですね。

既設構造物のひび割れ

ひび割れは構造物にとって有害なものの一つです。
ひび割れから水が侵入し、長い年月をかけコンクリートを浸食します。水により内部鉄筋を腐食させ、鉄筋に錆が発生すると鉄筋の体積は膨張し、コンクリート内部が膨張することにより、鉄筋を覆っていたコンクリート(かぶりと言われる場所)が押し上げられ、剥落します。
ひび割れは構造物に深刻なダメージを与える要因の一つです。
この橋は前回、塗装を行ったときに吊足場の中にあった上部のひび割れは補修したようですが、足場のないその下は出来なかったようです。
今回は下からすべて足場を組みますので、補修もすべて可能です。
このような調査は設計に含まれておりませんが、一技術者として、インフラ整備の担い手として、悪い部分は取り除き、より良いものを造るという意識のもと、発注者に報告し、対処法について承諾をいただいてから行います。

今回はここまで、耐震補強については次回以降に書きたいと思います。

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